社長のEcoコラム

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5. 三大重要環境問題

「エネルギー資源、水、食料の不足」「急激な温暖化」「放射性物質の利用と廃棄」

前回のコラムでは、様々な環境問題を「被害がおよぶ地域的な大きさ」「被害が続く期間」の2つの軸でプロットし、その中で、より長期的な視点に立って、世界的に取り組まなくてはならない問題として、以下の3つ「エネルギー資源、水、食糧の不足」、「急激な温暖化」、「放射性物質の利用と廃棄」が特に重要であることを述べました。

これらの3つの問題は、それぞれ独立して発生している問題ではなく、各々につながっているので、ばらばらには議論できない問題です。

例えば、「急激な温暖化」によって「水不足」や「食糧不足」が加速されています。では、水不足や食糧不足を少しでも押さえるための温暖化の防止策として、原子力の利用を増やせば、「放射性物質」の問題が拡大します。また、「エネルギー資源の不足」や「急激な温暖化」への対策として、バイオ燃料の利用が促進すれば、それが「食糧不足」を引き起こします。「エネルギー資源の不足」特に石油の不足と高騰を和らげるために、より埋蔵量の多い石炭の利用を増やすと、石炭による発電は石油や天然ガスによる発電よりCO2を多く発生させるので、今度は温暖化が加速される方向になります。まさしくこちらを立てればあちらが立たずという感じです。

また、問題の緊急性もそれぞれに違いがあります。

「エネルギー資源、水、食糧の不足」は、人が生きていくうえでなくてはならないものです。特に水と食糧がなくなってしまえば、あるいは高騰して手に入れられなくなった場合には、人間は死んでしまうわけです。そして現在の資源の高騰により、これは既に現実のものとなり、特に貧困な人が多い地域では、まさしく目の前の生死に関わる緊急問題となっています。また資源の奪い合いによる地域の紛争というものの危険性も日に日に高まっています。

「急激な温暖化」はものすごい問題です。しかしこれは、この先人類が数十年あるいは100年以上をかけてじっくりと戦っていく問題です。今からは何をしようが、ある程度の地球の温暖化は避けることはもはや不可能です。この数十年は、それへの対策はできるだけすみやかにどんどん行いながらも、いずれにしても温暖化した地球と人類は数十年からもしかしたら数百年は付き合っていかないと仕方がない状況であるわけです。

「放射性物質」は、過去においては、広島や長崎の原爆やチェルノブイリの原発事故などのものすごい惨劇をもたらしました。しかし、それらを含むいくつかの事件や事故を除くと、今のところは、人類はなんとか原子力と付き合っていっているといってもいいのではないかと思います。もしかしたら、リスクを認識しながらもこの力をエネルギー資源不足や温暖化への短期間に限った対策として使うことも検討する価値があるようにも思えます。しかし、一方、核兵器の瞬間的な破壊力、そして放射性廃棄物が数千万年から数億年も放射能を放ち続けることを考えると気の遠くなるような問題です。

このように3つの問題は、それぞれつながりあって連立方程式を構成しており、緊急度もそれぞれに違います。短期的にはどれかの問題は犠牲にしてでもどれかの問題を解決するような対策も必要でしょう。しかし、中長期的には、この3つの問題をすべて包括して解決できるような方向にもっていかないといけません。

次回のコラムから数回に分けて、これらの3つの問題に対して、いくつかのデータを示して、現状を確認したいと思います。

三大重要環境問題

2008年08月30日 松井 宏信


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