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代表のEcoコラム

14.「労働生産性」から「資源生産性」へ

2009.04.30

前回のコラムでは、「世界が貧困を克服し、豊かさと地球環境とのバランスを保っていくためには、少なくとも資源生産性を4倍にすることが必要である」 とする「factor 4」 という考えを説明しました。また逆に、資源生産性を4倍以上にすることが可能なほど、我々は資源を馬鹿げたほどムダに使っていることを示すいくつかの例を挙げました。

● 人口急増と資源不足で「生産性」の意味が変わる!

書籍「factor 4」の前書きには、次のような文章が書かれています。
「80億もの人々が職を求めているというのに、労働生産性を急上昇させようという奇妙な構想が展開され、それと歩調を合わせて、限りある天然資源の浪費が続いている。」

今までは、工場において生産性というと、ある時間内に「いかに少ない人でどれだけたくさんのものを生産できるか」ということを指してきました。つまり「生産性=労働生産性」であったということができます。

しかし、今後、世界人口はどんどん増え、逆に資源は不足し、高騰し、枯渇に向かっていきます。ということは、豊富になっていく労働力を極端に節約するよりは、どんどん枯渇に向かう資源をできるだけ効率よく使うことが当然重要になります。「いかに少ない人で」ということ以上に「いかに少ない資源消費で」ということを重視する世の中になっていくということです。

このような意味で、私は、「労働生産性」から「資源生産性」の時代に 移っていくのではないか?あるいは移っていかざるを得ないのではないか?と考えます。

● 資源生産性革命の実現に向けての方向性

さて、そのような資源生産性を重視する時代において、factor 4のような資源生産性革命の実現するための方向性は次のように分類できます。

(1)モノを生産するときに使う資源を減らす。

生産プロセスの省エネ・省資源化

(2)モノが使われるときの資源消費を減らす。

様々な機器の省エネ・省資源化(1)、(2)の省エネ・省資源化のポイントを上げると

  • エネルギ転換(燃料→電気、 燃料→動力、 電気→動力、 電気→熱など)効率の向上
  • 摩擦や抵抗の低減
  • 断熱
  • 廃熱利用
  • 資源リサイクル
  • 軽量化
  • 過剰性能や過剰運転の抑制
  • 再生可能資源(植物、風、雨、波、太陽光など)の利用などがあります。

(3)モノの使い方を変えて資源消費を減らす。

1)リデュース・リユース・リサイクルの3R活動
「できればモノを使わない、使った限りは何度も使う、最後は再資源化して違う形で使えるようにする」ことで資源を節約します。

2)「モノの所有」経済から「サービスの利用」経済への移行
モノを使うために「モノを所有する」ことが当たり前という時代から、必要なときだけ「サービスを利用する」という方向へ移行することにより、資源の劇的な節約になります。

次回のコラムでは、「モノの使い方を変えて資源消費を減らす。」ための『「モノの所有」経済から「サービスの利用」経済への移行』について述べたいと思います。

2009年4月30日 松井 宏信