SMGLのギヤモートル、駆動側ベアリングの交換方法
初めに
電源の遮断
- メンテナンスをおこなう前には必ず運転を停止し、貴社一次側電源を遮断してください。
メンテナンス前の注意
- 取扱説明書記載の「安全に関する遵守事項」を十分に理解したうえでメンテナンスをおこなってください。
メンテナンスに携わる方
- 保守点検および部品交換は、危険や故障が伴いますので、本製品を十分に理解している専任の方以外は絶対におこなわないでください。
- ギヤモートル交換時などクレーンを使用する場合は、有資格者により、必要な安全規則を遵守してください。
- 電気関係の点検および交換作業は、電気に関して十分に知識を持った人以外は絶対におこなわないでください。
※メンテナンスのご用命は、最寄のサービス拠点へご連絡ください。
服装
- 巻き込まれやすい服装は避け、安全靴を着用してください。
- 刃物を扱いますので創傷防止のため、手を切らない厚手の保護手袋をはめてください。
- エアガンを用いての清掃は粉塵が空中に舞うため、防塵メガネ・マスクなどを着用してください。
主に使用する工具および部材
- プラスドライバー
- スナップリングプライヤー穴用
- 10mmスパナ
- 六角レンチセット
- 19mmスパナ
- ソケットレンチ
- トルクレンチ
- 引っかけスパナ
- プラスチックハンマー
- M8×35L全ネジ2本
- 二硫化モリブデングリス
- 半永久固定接着剤
- 吊用ナイロンスリング
- 当て木(φ30〜φ40×100L程度)
- 角材
- 17mmスパナ
- マイナスドライバー
- 鉄ハンマー
- 手回し回転ハンドル(付属品)
- 抜き用治具(タッププレート:φ44.5×12t×中央にM16通し、ジャッキボルト:M16×160L全ネジ)
交換・調整要領
1. 投入ホッパーを開けます。
(1) ホッパー蝶番を外しても転倒しないようにギヤモートル側の投入ホッパー固定ノブをしっかり締めます。
(2) 従動側にある投入ホッパー蝶番の下半分(投入ホッパーを締結している)六角穴付ボルトM8-3本を取り外します。
(3) 投入ホッパー固定ノブをゆるめ、投入ホッパーを取り外し安定した場所に置いてください。

《危険》
ホッパー蝶番のボルトや固定ノブをゆるめたり外した時には投入ホッパーが不安定な状態ですから、必ずホッパーが転倒しないように保護して取り外してください。転倒しますと下敷きとなり骨折の恐れがあります。
2. 結線を外します。
ギヤモートルの端子カバーを取り、一次結線を外してください。

《警告》
ギヤモートル取り外し作業中、ギヤモートル(重量:約23kg)は落下防止のためクレーンなどで吊るしておきます。
吊用ナイロンスリングはギヤモートル抜きしろ分を見越し、少したるませておきます。
その状態で、安全確保のためクレーンは電源を落とし、以下の作業に入ります。
3. アキシャル押しタップと当て板を取り外します。
ギヤモートルの出力軸端の安全キャップカバーを外し、ギヤモートル中空軸内 M6のナット、アキシャル押し用セットアップボルト M6×20Lをゆるめ、C型止め輪(穴用φ45)を外し、アキシャル押しタップと当て板を抜き出してください。
当て板には抜き用 M6タップがありますので M6×20Lセットボルトをねじ込んでつまみ外してください。

4. ギヤモートルを取り外します。
(1) ギヤモートル取付ネジ M12×170L-4本を取り外します。
(2) ギヤモートルを下記の抜き用治具を用いて軸より引き抜いてください。

準備する抜き用治具
タッププレート:φ44.5×12t×中央にM16通し
ジャッキボルト:M16×160Lボルト全ネジ
(3) 引抜きにはギヤモートル中空軸内に当て板を入れ上記のタッププレートを入れ、C型止め輪(穴用φ45)でセットします。上記ジャッキボルトをねじ込んでいき、ギヤモートルを取り外します。さらにギヤモートル部のキーを外します。
治具のセット方法
- 円板
- スペーサー
- M16のボルト
- スナップリング


5. 従動側ベアリングカバーを取り外します。
従動側ベアリングカバーの取付ボルト M6×15L-4本を外してベアリングカバーを取り外します。

6. エンドキャップおよびカラーを取り外します。
片方の手で大回転刃の長穴に手回し回転ハンドルを差し込み、そのハンドルを握って主軸の回転を止めながらさらに大回転刃に角材を噛ませて回り止めし、キャップを締結している六角穴付ボルト M8×20L-1本を六角レンチでゆるめて、エンドキャップとカラーを取り外します。

7. 駆動側ベアリング押えを取り外します。
ギヤモートルが外れた状態でベアリング押えの取付六角ボルト M8-6本を外し、ベアリング押えを取り外します。

8. 軸を少し抜きます。
(1) φ30〜40×100L 程度の当て木を用意してください。
(2) その当て木をあてて、プラスチックハンマーで従動側から軸端を叩き、駆動側軸のベアリングがモートルブラケットから出てきたところまで(約50mm程度)軸を抜きます。

9. 駆動側ベアリングを取り外します。
軸が回らないように大回転刃に角材をかませた状態で駆動側のベアリングを止めている軸受用菊ワッシャの折り曲げを伸ばし、軸受用菊ナットを引っかけスパナでゆるめて取り外します。駆動側ベアリングを軸から引き出します。

《注意》
ベアリングが抜けない場合、「従動側ベアリング、小回転刃、大回転刃の交換要領」を参考に回転刃抜き取りをおこない、軸ごと抜き取り、機械から外した状態で軸にキズやほこりが付かないように注意し、ベアリングを交換します。
10. ベアリングハウジングおよび従動側ベアリングカバーを取り付けます。
駆動側ベアリングを軸から交換ベアリング、軸受用菊ワッシャを挿入し軸受用菊ナットを引っかけスパナでしっかりと締め込み、ゆるみ防止のため軸受用菊ワッシャの溝にあった耳の1ヶ所を鉄ハンマーとマイナスドライバーなどで叩いて曲げます。

《警告》
挿入するベアリング(6210LLU-CM-5Kの内部すきま)CMは特殊です。
普通すきまCNやその他の内部すきま、または他社の軸受で代用された場合は軸受破損や刃の破損の原因となり、弊社保証範囲外となりますのでご了承ください。
交換に関しては必ず最寄のサービス拠点にお問い合わせください。
11. 駆動側ベアリング押えを取り付けます。
ベアリング押えを所定の六角穴付ボルト M8-6本でトルクレンチを使用し、締付けトルク 25[Nm]に締め付けます。

12. ギヤモートルおよびキーを取り付けます。
(1) ギヤモートル取付け部の主軸にキーを差し込みます。
(2) ギヤモートルをシャフトに挿入する前、キーの側面とシャフトに薄く二硫化モリブデングリスを塗りつけます。

(3) ギヤモートルをクレーンなどで吊るし、ギヤモートル穴を主軸高さに合わせます。そしてキー位置を合わせ主軸に差し込みます。
(4) ギヤモートル取付ネジ M12×170L-4本でトルクレンチを使用し、締付けトルク 42[Nm]に締め付けます。
(5) ギヤモートル端子ボックスにモーター電源線を配線してください。

《警告》
安全確保のためクレーンはギヤモートルの高さを位置決め後、電源を落として作業をおこなってください。
13. 駆動側ベアリングのアキシャルギャップ追い込みをします。
ギヤモートルの中空出力軸端面から「8. 軸を少し抜きます」で使用した当て木(φ30〜40×100L程度)をあてがい、プラスチックハンマーで主軸の軸端をかるく数回叩きアキシャルギャップの追い込みをおこないます。
ギャップが追い込まれた目安としてプラスチックハンマーで叩く前、駆動側ケーシングプレートAの内側の面からダストワイパー左の面が 0.1mm程度引っ込んでいますが、プラスチックハンマーで叩き、アキシャルギャップを追い込んだ後ケーシングプレートAの内側の面とダストワイパー左の面がほぼ一致します。

14. 出力軸端周り部品を取り付けます。
(1) アキシャルギャップの追い込みを確認後、中空軸の端面から当て板を挿入しさらにアキシャル押しタップを入れC型止め輪(穴用φ45)をし、所定の M6×20Lセットスクリューのネジ部にゆるみ止めのため半永久固定接着剤を塗り、トルクレンチで締付けトルク 2.5[Nm]に締め付けます。さらにゆるみがないように M6ナットで締付けトルク 5[Nm]で締め付けます。
(2) ギヤモートルの出力軸端部に安全キャップカバーを取り付けます。

15. エンドキャップおよびカラーを取り付けます。
(1) 従動側軸端にエンドキャップとカラーをはめ、所定の六角穴付ボルト M8×20L-1本でかるく締めておきます。
(2) 片方の手で大回転刃の長穴に手回し回転ハンドルを差し込み、そのハンドルを握って主軸の回転を止めながらさらに大回転刃に角材を噛ませて回り止めし、トルクレンチでこのボルトを締付けトルク 25[Nm]に本締めします。

16. 従動側ベアリングカバーを取り付けます。
従動側ベアリングカバーを所定の取付ボルト M6×15L-4本で取り付けます。

17. 投入ホッパーを取り付けて完了です。
投入ホッパーを乗せ、蝶番ボルト、固定ノブを固定してください。
