AI解析成形支援システム Moldintel AI

Moldintel AIは、AI技術を活用して成形条件の設定を支援する成形システムです。AIが最適な条件を自動で算出・提案。現場での試行錯誤や調整工数を大幅に削減します。熟練技術者のアシスタントとして、また作業者の指導役として、成形現場の生産性向上をサポートします。

職人技に頼らない、新しい成形現場のかたち。

止まらない成形現場の空洞化 ー 技術者不足という構造的問題

近年、日本では生産年齢人口の減少が加速し、あらゆる業界で人材の確保が困難になりつつあります。中でも、プラスチック成形業界はその影響を大きく受けており、人材不足が常態化しています。

この業界の特徴として、ひとたび人が辞めると、その穴をすぐには埋められないという構造的な課題があります。特に成形条件の設定や不具合対応といった“経験に基づく判断”が求められる作業は、熟練の成形技術者にしか担えないものが多く、属人化が避けられません。そのため、「人がいないから成形が止まる」「分かる人がいないから不良が減らない」といった状況が、全国の現場で現実となりつつあります。

令和7年6月時点で、プラスチック製品などを含む「製品製造・加工処理事業者(金属製品を除く)」の有効求人倍率は1.61と、全職業計(1.17)を上回っています。人材が不足しているだけでなく、技術を継承できる人材すら足りていない。

――それが、今の成形現場の実情です。

※ 出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和7年6月分)」

限られた人に頼らない現場づくり ー 技術者の仕事を再定義する

このような人手不足が深刻化する成形現場では、数多くの業務が存在します。その中でも、生産の中核を担う成形技術者の仕事は、なくてはならない存在です。

新規金型の立ち上げや生産開始時の段取り、生産準備と片付け、不良発生時の対応、生産管理、さらにはメンテナンスまで、その業務の内容は極めて専門性が高く、同時に大きな負担を伴います。

生産年齢人口の減少と共に、技術者の不足が深刻な影響として表面化し始める中、この課題に向き合うことは喫緊の課題です。しかし、成形技術者が担う技術は“職人技”とも呼べる領域であり、後継の育成には長い時間と多くの経験が必要となります。短期的に人を増やすことは、ほぼ不可能なのです。

だからこそ今、必要なのは“仕事の「再設計」”という考え方です。すべてを技術者1人に任せるのではなく、その業務を分解し、どの仕事なら他の作業者や仕組みに置き換えられるのかを見極めること。成形技術者の業務を適切に「絞る」ことで、負担を軽減し、限られた時間の中で1人当たりの完了タスク量を増やす。そうした工夫によって、生産性の向上と現場の持続性を両立させることが求められています。

作業員

では、どのような仕事なら、他の作業員に任せることができるのでしょうか?

技術を誰でも使える仕組みに ー 成形条件出しのAI化。

成形現場の仕事を見直し、仕組みを“再設計”する。

仕組みを“再設計”するには、生産における既存のタスクを細分化し、人員に応じて再配分することが不可欠です。

とはいえ、「DX化が重要だ」と叫ばれる中、現場では「何から始めればよいのか分からない」という声も少なくありません。特に成形技術者の重要業務である「成形条件出し」は、経験と勘に支えられた職人技のため、属人化からの脱却が難しいとされています。

このような課題に対し、人がすぐには身につけられない技術を再現可能にし、技術者でない作業者でも条件設定を可能にするのがMoldintel AIです。Moldintel AIは、成形サイクルの中でも、型閉後から冷却終了までの領域を対象とし、成形機・樹脂・成形品の情報をもとに、AIが最適な成形条件を算出・提案する成形支援システムです。これにより、熟練の技術者でなくても、成形開始時の段取り作業である「条件出し」が可能になります。

さらに、成形データや型内圧力計、カメラ等との連携によって、より高精度な条件提案を実現します。

解説員

型閉後から冷却終了までの範囲で、通信対応可能な成形機に限り、AIが最適な成形条件を提示します。

現場で迷わない、5ステップの操作フロー

1. プロジェクトの作成

プロジェクトを作成し、使用する樹脂と成形機を選び、成形品の情報を登録します。

2. プロジェクトを選択

リストから対象プロジェクトを選ぶと、成形条件の推奨値が提示されます。

3. 成形条件を入力

提示された成形条件を成形機に入力し、成形を開始します。

4. 不良発生時、該当項目を選択

成形品に現れた不良に対応する項目を選びます。

5. 再取得した成形条件を入力

Moldintel AIが再提示した条件を成形機に入力し、再成形を行います。

現場に自由と柔軟性を与えるMoldintel AIの特長

1.あらゆる成形現場にフィットするsMolding+の対応力

Moldintel AIは、使う人も場所も選びません。

sMolding+は、さまざまな成形機メーカーおよびトン数に対応しており、自動車・バイク部品、家庭用品、医療、精密部品など、幅広い成形品に導入可能です。

プロジェクトの作成や成形条件の設定はクラウド上で処理され、PC・タブレット・スマートフォンなど、あらゆるデバイスからWEB経由で操作できます。モバイル通信にも対応しているため、WiFi環境がない場所でも利用が可能です。

また、プロジェクト管理の整備にも最適です。ユーザーインターフェイスは統一されており、どの端末でも同じ画面からプロジェクトの作成や条件入力が行えます。プロジェクトを選択するだけで、必要な成形条件をすぐに呼び出すことができます。

作業員

せっかくAIが最適な成形条件を提示してくれても、成形機にパラメーターを入力するときにミスしてしまうこともあるので、ちょっと心配なんですよね…。

解説員

ご安心ください。通信対応の成形機であれば、AIが算出した成形条件を自動で成形機に転送することができます。手入力によるミスのリスクもなくなりますよ。

作業員

手入力の手間も省けるし、ちょっとした操作時間の短縮も、積み重なれば大きなロス削減につながりそうです!

2.AIが学び、進化する。sTroubleshootingによる自律的な改善力

Moldintel AIは、算出した成形条件のパラメーターを自動で蓄積し、成形ノウハウを継続的に学習していきます。蓄積されたデータをもとに、必要な設定条件をムダなく学び、より高精度な成形条件を提供します。

また、提示された設定値で成形不良が発生した場合でも、オペレーターが画面上の不良リストから該当する項目を選んでフィードバックすることで、AIがパラメーターを再調整。不良の改善を図ります。

このようにMoldintel AIは、現場で得られた情報を取り込みながら学習を重ねていき、革新的なトラブルシューティングを実現します。射出成形における問題の早期解決を支援し、品質の向上と作業時間の短縮に貢献します。

クラウドを使ってAI が成形ノウハウを蓄積するとのことですが、その情報が外部に漏れる心配はありませんか?

はい、ご安心ください。すべてのデータは暗号化された通信とセキュアな保護環境で管理されており、外部に漏洩することはありません。

では、他社に自社の成形条件が使われてしまう…なんてことありませんか?

その点もご安心ください。お客様ごとに独立したプロジェクト管理領域が設定されているため、他社と情報が混在・共有される心配は一切ありません。

成形条件は会社の大事なノウハウなので、そう聞いて安心しました!

Moldintel AI導入で、試作工程のコストと工数を大幅削減

データに裏付けられた、圧倒的な削減効果

Moldintel AIの導入により、試作時間・回数・材料費・機械コストすべてにおいて改善が見られ、最大で60%の総合削減効果を達成しています。

経験や勘に頼らず、AIによる成形条件予測で、効率的かつ高品質な立ち上げを可能にします。

Moldintel AI 紹介動画

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