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代表のEcoコラム

7. 食糧の不足

2008.09.30

実は、食糧は十分あるのに、飢餓で苦しむ人はどんどん増加!

前回のコラムでは、「エネルギー資源、水、食糧の不足」の中の「水資源の不足」を取り上げました。
今回は、「食糧の不足」について書いておきたいと思います。

● 実は、現時点では、世界には全ての人々が食べるのに十分な食糧はある。

  • 世界の穀物生産量 年間約21億トン(2007年 FAOより)
  • 1人1日当たり穀物生産量=21億トン/66.7億人/365日=0.86kg/人/日
  • 穀物 1kg あたり平均約 2,500kcalとすると
    穀物 0.86kg/人/日 = 0.86kg × 約 2,500kcal/kg = 2,150kcal / 人/ 日
  • これに肉、魚、果物などのカロリーを加えると、2,500〜3,000kcal /人/日 になる。
  • 日本人の1日の平均カロリー摂取量が、約 2,800kcalである
  • つまり、世界で食糧を均等に分けれれば、日本人と同様のカロリーが全員取れる計算になる

● しかし、全世界でおよそ8億5,400万人が栄養不良や飢えに苦しんでいる。

そのうち3億5千万人以上が子ども、8億2千万人以上が発展途上国の人たち

● 飢えと貧困で、毎日2万5千人が命を落としている。

そのうち1万8千人が子供。5秒に一人の子供が飢えや貧困で亡くなっている。

● 慢性的な飢餓人口は、毎年400万人増えている。

1990年代前半で飢餓人口を2,700万人削減できたにも関わらず、90年代後半では、逆に飢餓人口が2000万人も増えてしまった。
以上の3つはすべて、WFP Hunger Factsより (WFP : United Nations World Food Programme 国連世界食糧計画)
https://www.wfp.org
現時点では、地球全体には十分に食糧があるのに、なぜ飢餓が起こり、しかもそれがどんどん増えているのでしょうか?
主な原因は、「慢性的な貧困の広がり」「食糧価格の高騰」で、要は十分な食糧を買うお金がない人がそれだけ多い、つまり、うまく食糧が分配されないことが原因だと思います。
特に、食糧価格の高騰は、下記のようにますます深刻です。

● 基礎的食糧は5年で2倍に高騰。ますます飢餓に拍車。


FAO Food Price Index : 肉、バター、チーズ、穀物、米、オイル、砂糖などの価格から算出した食糧価格の指標
(FAO : Food and Agriculture Organization of the United Nations、国連食糧農業機関)
FAOより
https://www.fao.org/worldfoodsituation/FoodPricesIndex/en/

今後は、世界の人口が増えること、途上国の食生活の向上で一人当たりの食糧消費量が増えること、水不足や自然災害の増加で食糧生産への悪影響が増えると予測されること、食糧を元に作ったバイオエタノールなどをエネルギー資源として使うことが今後増える可能性が高いこと、などを考えると、食糧の絶対量すら足りなくなる状態になる可能性もあり、ますます飢餓に拍車がかかるのではないかと危惧されます。

先にあげた水不足と並んで、世界全体で緊急になんとかしていかないといけない問題です。

2008年09月30日 松井 宏信