Heat & Cool 成形とは
Heat & Cool 成形とは、ウェルド※レス成形とも呼ばれ、成形1サイクル中に金型温度を樹脂軟化点まで急速加熱し、取出し可能温度まで急冷却することで金型転写性を向上させ、一般成形では得られない表面品質を得ることができる成形方法です。得られる表面品質として、ウェルドラインの改善、表面光沢、ソリ・ヒケの改善などの効果が期待されます。
Heat & Cool 成形での金型温調は、昇温と冷却を繰り返します。
【各工程の目的】
・Heat:金型表面温度を急速加熱、金型内の溶解樹脂の流動性を上げる。
・Cool:金型表面温度を急速冷却、成形品の形状を保つ。
※樹脂の流動先端部同士がぶつかった部分に発生する線状痕。ウェルドラインは外観品では不良となり、機能部品でも強度不足を招くため不良になります。成形品に開口部が設けられていたり、多点ゲートで射出したりする場合に、ウェルドが発生します。
Heat & Cool のソリューション
1.ウェルドラインの改善
金型を高温にすることで樹脂流動性が高まり、一般成形と比較し溶解樹脂の流動末端同士の密着性が上がるため、ウェルドラインを目視できないレベルまで低減することが可能です※。
※樹脂同士がぶつかるという物理的な作用は変わりません。樹脂融合部の密着性を上げ、ウェルドインビジブルを実現します。
2.転写不良の改善
加熱により金型内の溶解樹脂粘度が下がり流動性が向上するため、金型成形面の細部まで樹脂が行きわたり、転写不良が改善されます。そのため、シボ転写によるマット感のある成形や、鏡面転写による光沢感のある成形もHeat & Cool 成形で実現可能です。
3.フィラー表出の改善
フィラー表出とは、強度や耐熱性、各種耐性をもたせることを目的に樹脂に混ぜられたガラス繊維などの添加剤が、成形品表面に見えることを指します。Heat&Cool成形は、ガラス繊維の表出を抑え、良好な表面品質を実現することができます。
【 表出のメカニズム 】
一般成形では、ファウンテンフローの動きにより、フローフロントからフィラーが外側へ飛び出すことで、金型壁面に押し付けられた状態で固まり、表面に見えるかたちでフィラーが残ってしまいます。
【 改善のメカニズム 】
金型壁面の温度が高いため、押し付けられたフィラー周りの溶解樹脂が暖かい状態で保たれ、その間に型内圧によって溶解樹脂がフィラーを覆うため、フィラーの表出を抑えることが可能です。
水蒸気式Heat & Coolの特長
蒸気式Heat&Cool成形は、熱伝導率が高い蒸気で加熱するため、熱水加熱比2.5∼6倍の素早い金型昇温が可能です。また、専用金型を使用することにより、金型表面を短時間で均一に昇温、冷却することができます。
Heat & Cool 成形のラインナップ
マツイは、3方式のHeat & Cool 成形をご案内しております。RHCMを使用した蒸気式をはじめ、その他、成形方式に関してご不明点などございましたら、お気軽にご相談ください。