金型温調冷却水赤錆防止装置 SAVVYLAINE®(サビレーヌ)

サビレーヌは、金型温調用の循環水に発生するサビ(酸化鉄)の進行を抑制する装置です。循環水中での酸化鉄を抑えることで水孔の閉塞や腐食を防ぎ、成形不良防止や設備トラブルのリスクを低減します。

品質と生産性を守る冷却水の役割

成形現場で起きる水質トラブルとその影響

近年、精密成形をはじめとする成形現場では、複雑化する金型の性能を最大限に発揮させることが求められています。そのためには、金型温度調節機による安定した温度管理が欠かせません。しかし、設定温度に問題がないにもかかわらず、冷却効率が低下してサイクルタイムが延びる、あるいはヒケ・反りといった成形不良が発生する場合があります。こうしたトラブルは、金型の温度管理以外の要因によって引き起こされることも多く、その代表的な要因が 冷却循環水の水質悪化 です。

水質が悪化すると、錆やスケール、スラッジが配管や金型の水路に付着し、流量の低下や部分的な詰まりが発生します。その結果、冷却効率が低下して金型温度が不均一となり、成形サイクルや品質に影響を及ぼします。また、腐食の進行によって配管の破損や設備故障につながる可能性もあります。

これらを未然に防ぐためには、冷却水の水質を適切に保つ日常的な管理が欠かせません。

成形不良を引き起こす水質悪化のメカニズム

冷却循環水の水質が悪化する背景には、いくつかの物理・化学的要因が関係しています。

まず、赤錆(酸化鉄)は最も一般的な劣化要因です。鉄系部材が水中でイオン化し、溶出した鉄が溶存酸素と反応して酸化物を形成します。密閉回路であっても補給水や微小な侵入経路から酸素が供給されるため、赤錆の発生を完全に防ぐことはできません。

生成した赤錆や懸濁粒子は循環流にのって配管や金型の水路に運ばれ、粒子の堆積と腐食が複合して進行することで、局所的な損傷や「侵食–腐食(erosion–corrosion)」を引き起こす場合があります。これにより水路が狭くなり、詰まりやピンホールなどの損傷につながることがあります。

次にスケール(ミネラル成分の析出)は熱交換面に付着し、熱伝達を阻害します。また、バイオフィルム(スライム)は微生物とその代謝物が膜状に付着したもので、ストレーナーや散水部の詰まりを引き起こす要因となります。このようなスケールやスライムの付着による、冷却効率の低下や温度ムラを招き、成形不良の発生リスクを高めます。

これらの劣化要因は複合して進行するケースが多く、トラブル発生時に原因箇所の特定が難しくなることもあります。

スケール・錆が発生した配管

成形品の品質を左右する冷却循環水

循環水の状態は、単なる設備保全にとどまらず、成形品の品質そのものを左右する重要な要素です。赤錆・スケール・バイオフィルムなどの付着は温調精度を乱し、生産性の低下やトラブルの発生リスクを高めます。

そのため、pH・鉄濃度・流量などの水質指標を日常的に監視し、必要に応じて薬剤処理、フィルタリング、軟水化といった管理を行うことが重要です。

適切な水質管理は、安定した金型温度を維持するための基盤であり、品質と生産性を両立させるために不可欠です。

鉄錆を予防するSAVVYLAINE®(サビレーヌ)

SAVVYLAINE®(サビレーヌ)とは

サビレーヌは、金型温度調節機で使用される冷却循環水中の鉄錆(酸化鉄)の発生と更新を抑制する水質改善装置です。
循環水中で発生する酸化鉄を抑えることで、金型水孔の保護、冷却効率の維持、成形不良や設備トラブルの防止に貢献します。

イオン化傾向を利用した赤錆抑制の原理

サビレーヌが溶出するカリウム・ナトリウム・カルシウム・マグネシウムなどのアルカリ金属・アルカリ土類金属のイオンの作用により、冷却循環水中における鉄のイオン化(酸化)を抑制します。

金属には、電子を失いイオン化(酸化)しやすいものとしにくいものがあり、この性質はイオン化傾向として知られています。アルカリ金属・アルカリ土類金属は鉄よりもイオン化傾向が高く、先に酸化されやすい性質を持っています。そのため、これら金属イオンが冷却循環水中に存在する環境では、鉄は相対的にイオン化しにくい状態となり、結果として赤錆(酸化鉄)の発生が抑えられます。
サビレーヌは、この金属の物性に基づくイオン化傾向の考え方を応用し、冷却循環水中で進行する鉄の酸化反応を緩和する仕組みです。

作業員

カリウム・ナトリウム・カルシウム・マグネシウムが酸化することによる影響はありますか?

解説員

これらのアルカリ金属・アルカリ土類金属は、水中では安定したイオンとして存在するため、それ自体が錆や付着物になることはなく、冷却循環水の運用上、大きな問題はありません。

すぐに導入可能な設置方法

サビレーヌは、チラー内のタンクに入れるだけで簡単に設置し、使用することができます。特別な配管工事を必要とせず、既存の温度調節システムにそのまま導入が可能です。定期的な掃除を行うことで、効果は約2年間持続します。

※ タンクを持たないチラーには、フィルターハウジングを使用してください。

効果事例

サビレーヌによる赤錆抑制効果の比較検証

ステンレス容器内に水を張り、鉄材(S45C)を浸漬させることで、冷却循環水環境を模した実験を実施しました。本試験では、サビレーヌの有無による赤錆発生状況を比較しています。
なお、チラー運転時の温度条件を再現するためヒーターを使用し、水中ポンプにより水流を発生させることで、実際の循環環境に近い状態を再現しています。

解説員

サビレーヌ未使用の場合、容器内の鉄(Fe)濃度は基準値を大きく上回り、500日目には基準値の約43倍に達しています。一方、サビレーヌを使用した場合は、500日経過後も初期値(0.05)からほとんど変化せず、基準値(1.0)以下を維持しています。

確かに、写真を見るとその違いからは明らかですね。冷却循環水の水質が、設備状態や安定した費用に大きく関わっていることが分かります。

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